(引用
『なんかいやな感じ』
この時代を覆っている閉塞感には「ずっしり」とした重たさがあって、なんとも動かしがたい気がしてしまう。だけどその「ずっしり」はある日突然現れたのではなくて、時間をかけて、ちょっとづつ積み重なってきた結果なのだな、とこの本を読むと思う。
世の中への違和感を的確に言葉にしてくれるライター・武田砂鉄さんの、自伝のようでもあり、同時にそれがまるッと平成史にもなっているような本書。
宮崎勤や少年・若者の凶悪犯罪、TVネットCDレンタルビデオ携帯電話といったメディアの変遷、政治家たちの軽い言葉たち…そこにこびりついた「いやな感じ」をひとつづつ言葉にしてくれる本書は、「閉塞感」という大きな塊を分解して、ひとつ一つのパーツにして見せてくれる…そんな感じがする。
同時にこれはどうしたって武田少年/青年の青春物語でもあって、大きなものに飲み込まれずに、違和感を抱えながら世の中にツッコミを入れ続ける…そんな(昨今ますます煙たがれようになっている)反…